■船富水産/広島市安芸区船越
「自分の納得する牡蠣だけを食べてもらいたい」
あくなき情熱で独立の道を選んだのは九年前。「漁師生活は今年で二十四年ですが、物心ついた頃には父とともに沖に行く事が日課でした」と振り返るのは船富水産漁師、船井富美雄さん。
安芸を代表する特産「牡蠣」。縄文時代の貝塚からも牡蠣の貝殻が発見されるなど、その歴史は古い。養殖技術は天文年間(十六世紀前半)に安芸国で発明され江戸時代に普及。太田川の河川水と瀬戸内の海水が混ざり合う安芸の海は牡蠣作りには最適とされ、広島市宇品の郷土資料館には安芸の牡蠣を絶賛する文献が多く残されている。
「少々の風雨でも毎日海に出るんです。牡蠣の育ち具合を確かめながら、常に潮通りの良い場所に筏を移動させます。一粒一粒に豊富なプランクトンが行き渡り、味と旨みが増すよう心がけています」と船井さんは語る。
船井さんは牡蠣殻の持つ浄化作用に注目し、牡蠣殻を使った川の浄化プロジェクトを模索中。海を耕す、といわれる牡蠣漁師の技がアース・キーピングを実現する日も近い。
目指すは牡蠣のアウスレーゼ。漁師の技と自然の恵みが融合した最高の牡蠣を「安芸国サムロック牡蠣」として発売する。